海外取引と国内取引の違いを押さえる

海外取引を理解するためには、先ずは国内取引との違いを理解するとわかり易い

今回は海外取引とは何かに関して、その全体像をつかむために国内取引との違いをざっくりと頭にインプットしましょう。海外マーケティング・海外営業の実務を効率的に進めるためにも枝葉を見る前に、まずはざっくりでも良いので森を押さえていきましょう。

海外取引を理解するためには、契約単体と契約に至るまでの過程、それらを各々複雑性と特殊性の4象限から押さえるとわかり易いです。順番にポイントをみていきましょう。

契約自体の複雑性:

海外取引では、一般的な国内取引では議論されない検討項目が多岐に渡ります。最たる例としては、国境を挟んだ国際物流における貿易条件(危険負担+費用負担の定義)でしょう。これらはインコタームズと呼ばれICC(International Chamber of Commerce) が策定した貿易条件の定義となります。1936年に始まり、改定を続け、現在はインコタームズ2010が最新のものとなっております。例えば在来船で運ぶ場合とコンテナ等で運ぶ場合によって適切なタームがあります。インコタームズの使用は当然に義務付けられていませんが、インコタームズなしで取引を決めると、毎回細かな部分を個別に取り決め、書面化していく作業は工数も膨大ですし、相手も嫌がりますし、なにより漏れのリスクがあります。ゆえに貿易において相手と認識齟齬をなくし意思疎通をし易くするための便利ではありますが、覚える必要があることには変わりません。費用負担と危険負担が異なるケースがあるため、このあたりは複雑といえます。

次に、貿易特有の代金回収として、L/C, D/A, D/P, T/T等、英略語が並びます。このあたりはやっている内容だけを見れば国内取引でも該当するケースはありますが、いずれにしてもリスクをミニマイズして代金回収をすることを、国外の企業に対して行うには国内取引よりも難易度は高いです。時として相手の顔を知らないまま取引することも無きにしもあらず、そのような場合も含めた代金回収リスクのヘッジ方法は、ファクタリング等の活用等も含めると複雑といえます。

また、貿易により両社間で訴訟問題が発生した場合には、国を跨いだ紛争になります。どちらの国を準拠法とするのか、裁判、仲裁、あるいは調停どの方法をどこの裁判所等で行うのかそのあたりは複雑以外の何ものでもないですよね。他にも国境を跨ぐため、異なる法規定で活動する法人・個人の取引であることから当然にルールが一つでないことを統一することが複雑性を高めているといえます。

契約自体の特殊性:

契約自体の特殊性の背景には、国内取引では無縁な法規制の存在があります。例えば、英米法における詐欺防止法、および「口頭証拠排除の原則です。前者は例えば一定金額以上の取引の場合には、契約を履行する側の署名した書面がなければ法的強制力がないされること等、後者は契約書上でその旨規定されていれば、書面に記載されていないことは口頭だけでは認めませんよという内容のものです。それらもあり特に欧米系との契約書はページ枚数が嵩んでいるといえます。

次に、CISG、よく言われるところのウィーン売買条約というものがあります。こちらは先述した通り、国境を跨ぐ取引は背景や商慣習が異なるため、認識齟齬ひいてはトラブルに発展し易いため統一的な取り決めを決めようとする条約になります。これらは当然に国内取引になく特殊な取り決めになります。また、代理店保護法等、海外では代理店を保護する法律を定める国も少なくありません。EUや中東は有名ですね。このあたりを知らずして代理店契約をすると痛い目にあいますが、これもそのような特殊な法律ゆえの縛りがあるためです。

プロセスの複雑性:

これはモノの流れを考えるとわかり易いです。1回の取引において通常の国内取引以上の利害関係者と調整する必要があります。海貨業者や船会社、税関から国際弁護士/行政書士、銀行、保険会社、インポーター等、取引に至るまでの様々な事前擦り合わせで利害関係者が多いため複雑の一言です。

さていかがでしたでしょうか。今回はBtoBの海外向けウェブサイト構築にあたり参考になる動画マーケティングの活用事例をご紹介しました。今後の皆様の海外マーケティングに動画マーケティングにおける欧米の視点を取り入れて、海外営業力強化に寄与に繋がれば幸いです。

プロセスの特殊性:

コミュニケーション、環境、地理の視点から考えるとわかり易いでしょう。国内と異なり、そもそも言語が違うため、書面は翻訳の一工程が入りますし、口頭でのコミュニケーションも通訳が必要になる場合あるでしょう。そのためプロセスの中で国内取引では大前提となる言葉から問題・認識齟齬リスクがあります。また、文化・商慣習の違いから、こと商談ではこのあたりは言わなくてもわかるよねといった暗黙の了解を期待することは大いに誤りであることがわかり易いでしょう。そして国境を跨ぐがゆえに、どうしても国内取引と異なりFace to Faceを手軽に何度も出来るわけではありません。遠隔コミュニケーションが多くなる前提となるためいつも通りの国内取引のプロセスでやろうとうするとそれら3つの特殊性ゆえにハードルが高いといえます。

さて、いかがでしたでしょうか。海外取引の実務にこれから差し掛かっていくうえで、最低限の心構えや留意点がざっくり把握できたと思います。もちろん大事なことは他にもたくさんありますが、まずこれらを理解しておくだけでもそれなりに海外取引の「森」は押さえているといえるでしょう。これらをスタート地点として、自社の海外取引で必要な情報を肉付けして準備を進めていきましょう。